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 途中になってたので続けます。しかしこの記事で完結すると思ったら大間違いだぜ。
 例によってネタバレを含みます。

 そもそもリドルストーリーとは何か?
 リドルストーリーとは、物語の結末を意図的に伏せておくことによって読者へ結末をゆだねるという手法である。
 作中で叶黒白は一度物語を書いてから後であえて結末を抜き、リドルストーリーの形に直した。なぜこのようなことをしなければならなかったか。

 ストックトンの『女か虎か?』という世界一有名なリドルストーリーがある。詳細は省くがタイトルの通り「女と虎」の二つの結末が考えられるストーリーになっている。
 このリドルストーリーが人の興味を引くのは問題の焦点がはっきりしていながら結末のみが伏せられているからだと思う。結末を二通りに絞ることで読者の興味を他にぶれさせないのだ。
 叶黒白の小説もすべて(少なくとも5篇中4編は)結末は二者択一になっている。『女か虎か』の例を見るとこれはごく自然なことのようだが、実はここに大きな意図が隠されているように思えてならない。
 叶黒白の小説は本編と結末がわけて保管されていた。結末の書いた紙の裏には本編のタイトルが書かれていたが、表の本文が万年筆で書かれているのに対してこちらはゲルインクのボールペンで書かれている。これは実に意味ありげなことだと思う。
 なぜわざわざ違う筆記用具で書いたのか。
 結末とタイトルを別々の日に書いたのか、あるいは別々の人が書いたのか。こうなってくると、タイトルと結末が対応しているかどうかは怪しいところだ。
 叶黒白のリドルストーリーはすべて二者択一を意識した物語になってあった。
 ならば結末を入れ替えることができるのではないだろうか。つじつまが合うように入れ替えると下記のようになる。前回と同じ表記をするので比べてほしい。

断章タイトル 1 リドル 2 結末 3 『アントワープ』事件の真相

『眠り姫』 1 娘は寝ていたか? 2 暗がりから女の子が現れた(暗い隧道の結末) 3 可南子は起きていた

『転生の地』 1 死体に傷がつけられたのは死の前後どちらか? 2 一刀のもとに夫の首は飛ばされた(=死の前に傷をつけた・二通の手紙の結末) 3 拳銃を発射したとき春美は首を吊っていなかった

『二通の手紙』 1 死んだのは夫か妻か 2 明け方女の焼死体が見つかった(=妻は殺された・眠り姫の結末) 3 春美は殺された

『暗い隧道』 1 トンネルに罠はあったか? 2 幼子の命まで奪われる(=罠はあった・転生の地の結末) 3 参吾は春美に駆け寄ることができなかった


 こうしてみると物語の結末が綺麗に裏返っているのがわかる。『アントワープ』事件の真相は、春美は首を吊っていなかったし参吾は春美に駆け寄ることができなかった、そして可南子は起きていて春美は殺された、ということになる。

 北里参吾が結末を伏せながらも書かずにいられなかった真相がおぼろげに見えてきたようである。あの事件の本当の犯人は・・・
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